この歪みは「外の人間にはわかるまい」で片付けられてはいけない。この歪みを内包し続けることは、今後さらに加速する企業の説明責任や開示義務を勘案しても時限爆弾になりこそすれ、利益にならない。

 この時限爆弾が不祥事として爆発すれば、培われたブランド価値も一瞬で吹き飛ぶ。「自分が現役の間は爆弾が爆発しませんように」と祈るのではなく、次世代が安心して引き継げる組織を残すべく爆弾の解除に努めるべきだ。

独立専門家の活用は
「企業ドック」になる

 独立専門家の意見を積極的に採り入れ、爆弾を解除することは、企業経営において人間ドックならぬ企業ドック的な意味合いもある。

 我々外部コンサルティングの活用も客観的意見を取り入れるという点で同じだ。経験上、コンサルティングの使い方が残念な企業では、どんな診断や提案も「やはり外部の人間にはわからない」となり、コンサルタント活用は無駄な費用という苦い経験になる。

 一方、コンサルタントの使い方が上手い企業は、外部コンサルタントを社内説得や社内変革の正当化のための道具として用いることで、費用対効果を最大化する。「客観的に評価させた結果、こうする方が良いという結論です」と、クライアントのプロジェクトチームが社内に説明する場面を我々も多数見てきた。

 そしてサービスの提供側も、客観性担保の道具として都合よく使ってもらえるよう有資格者を揃えたり、上場して自らを開示義務に晒すなど社会的信用の確立に努めたりする構図になっている。

 独立専門家の介入を企業の説明責任の代替として、戦略的に活用する余地は多分にある。自前主義の限界を見極め、手付かずのもたれ合い構造に別れを告げるときが来ているのではなかろうか。積極的に外部を介入させることで客観性を担保し、介入の事実にて説明責任を果たすことは、企業にとって効率の良い生き残り作戦の一つかもしれない。

(フロンティア・マネジメント シニアディレクター 藤森涼惠)