「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。
知らないと絶対損する! 経費の裏ワザ
中小企業の経営者より「個人名義の車のガソリン代、車検代、保険料は経費にできますか?」という質問をしばしば受けます。
条件付きですが、可能です。
まず大前提として、法人名義で自動車を購入した場合の話から始めます。
法人名義で自動車を購入する場合は、問題なく会社の経費にできます。自動車は固定資産となりますから、取得価額や法定耐用年数をもとに、毎年の減価償却費を計上していきます。また、関連するガソリン代や車検代、修理代、自動車保険料なども経費として計上できます。
社用車をプライベートでも使用する場合は、使用する時間や距離などにより、「業務」と「プライベート」を按分する必要が出てきます。
もしも1週間のうち、平日5日間は仕事で使い、土日は買い物や趣味のために使っているのであれば、7分の5だけが経費になります。
ここまでは、法人名義で自動車を購入した場合の話です。
続いて本題である、「個人名義で購入した自動車の費用を、法人で経費にする方法」を見ていきます。個人名義で購入した自動車の費用を法人で経費にするには、「①法人が買い取る」「②合意書を作成する」「③賃貸借契約を結ぶ」の3つの方法があります。それぞれ見ていきましょう。
①法人が買い取る
個人から法人へ車両を売却し、名義を法人名義に変更します。すると、法人の経費にできるようになります。最もオーソドックスな方法です。
②合意書を作成する、③賃貸借契約を結ぶ
ローンや保険などの諸事情で、法人への名義変更が難しい場合は、個人・法人間で合意書を作成したり、賃貸借契約を結んだりすることで、法人の経費にできます。ただしこの場合は、「車両管理表」を記録し、法人の事業で車両を使用していることを証明できるようにしておく必要があります。
(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)