AI対応チップ分野への新規参入が急増
また、米国などでAIに対応したチップの設計・開発に参入する企業が急増している。HBM需要も拡大し、関連する製造装置や半導体部材の引き合いも増えるだろう。これまでスマホがけん引した世界の半導体産業は、次の新しい局面を迎えつつある。
23年11月、エヌビディアは「H100」改良版のチップである「H200」を発表した。H200は、従来のチップよりAIの開発、利用に必要なデータの処理ペースが速い。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、グーグル(アルファベット)やオラクルのクラウドコンピューティングサービスがH200を採用する方針だ。
シェア拡大を目指すエヌビディアに対抗する企業も急増している。12月6日、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、「MI300」と呼ばれる最新のAI対応チップを発表した。発表の場でリサ・スーCEOは、「今後4年間でAI半導体業界の市場規模が4000億ドル(約57兆円)超に達する」と発言。従来の同社の予想は1500億ドルだったので、大幅に増えた。
AIは、情報収集、業務運営の省人化・自動化、生産設備の最適な配置、素材や新薬開発に至るまで、私たちの生活に革命というほどのインパクトを及ぼし始めている。一方、企業はより多くのビッグデータを獲得し、蓄積し、AIに学習させようとしている。
そのため、AIに対応したデータセンターの構築も急務である。エヌビディアやAMD以外にも、マイクロソフト、インテル、グーグル、アマゾンなどの米国企業、中国のアリババなどがAIチップなど関連需要の取り込みを急いでいる。
スマホ、パソコン、データセンター用の高性能コンピュータなどに搭載される、AI対応チップの先端半導体の需要は増えこそすれ、減少することはないだろう。AIチップ需要の高まりを追い風に、多くの半導体メーカーは先端分野の高価格帯メモリー製品分野で設備投資計画を上方修正することが予想される。