あなた自身、「見せかけ」にダマされることがあると思う。
たとえば、2つの水槽があるとする。1つには小魚がたくさん泳いでいて、もう1つには小魚の他に天敵の大きな魚が1匹いるとしよう。
一見、小魚だけの水槽のほうが幸せに暮らせると思うが、そうではない。
実際には、天敵がいる水槽のほうが、多くの小魚が繁殖する。
生物は、適度なストレスがあったほうがよりよく暮らせるのだ。
もちろん、それが度を越えると生態系が壊れてしまうのだが、まったくストレスがない状況というのも生物は耐えられない。
技術が発展し、さまざまなことが、一周まわってしまったと思う。
硬いものを食べるのがつらいから、柔らかい食品を開発した。
その結果、アゴの力が弱くなった。
足の裏が痛くならないように靴を作った。
その結果、足は退化し、小石を踏むことすら耐えられなくなった。
そうやって当たり前になったことを、もう一度、疑ってかかるタイミングなのかもしれない。
無自覚に生きると、どんどん人にダマされる。
「Aさんが言っていたから正しい」
「Bさんは頭がおかしいから間違いだ」
そうやって「人」で判断するのは危険だ。
同じように、「ひろゆきは正しい」と信じることも危ない。
批判的に見る、そのクセを本書で身につけてほしい。信じてしまいそうになる、その1秒での判断が大事だ。
本書の内容は、受け入れがたく、心の葛藤も生じると思う。
一度でも信じたものをもう一度疑うのは、自分で作ったものを自分で壊すような作業だ。
ただ、それを受け入れて生まれ変わると、今まで以上にしなやかに、身軽になれる。
それをあなたにも体感してもらいたい。結果的に、人への「影響力」を手にするはずだ。
さて、その心の準備はできただろうか?