でも、せっかくこの本を手に取ったのなら、
人に影響されるだけの生き方ではなく、
人に影響を与えるように生きてみるのもありだと思う。
この本では、そんな提案をしてみたい。
はじめに
権威や常識といった「思い込み」について語ろう。
はるか昔、太陽が地球の周りを回っていると信じて生きていた人は、地球が太陽の周りを回っている事実を受け入れることができなかった。
いわゆる、「天動説」と「地動説」だ。中には、すぐに受け入れた人もいたかもしれない。しかし、多くの人は、常識に固執(こしつ)した。
そんな親の姿を見て、子どもは「親の考えは古い」と反発したかもしれない。そうやって世代が入れ替わっていくにつれて、徐々に人間は新しい概念を受け入れていった。
直感的に信じてしまう天動説のようなものを、「逆で考えるとどうだろう?」と、あなたなら疑えただろうか。
つまり、「最初の1秒」に批判的な思考ができたかどうか。
それさえあれば、世代を超えなくても、人は地動説を受け入れられたはずだ。
いくら説得しようとも、データを与えようとも、意外と人は真実を信じない。
聞く耳を持っていないと、効果がない。
自分で自分に「思い込みがあるかもしれない」と、気づかないといけないのだ。
自分自身は思い込みから逃れ、逆に、他の人はあなたに対して思い込みを持つ。
そのギャップが、「影響力」になる。
冒頭に書いた僕のプロフィールのように、あなたは「影響力」を持ちたいだろうか。
セルフブランディングが当たり前のようになり、自分の「見せ方」を自分でコントロールするように勧めている人が多い。
しかし、どれだけセルフイメージをコントロールしているつもりでも、まわりからの印象は100%操作できない。
「○○さんって、しっかりしていますよね」
「○○さんって、落ち着いていますよね」
そういうことを第三者に言われて、驚いたことがないだろうか。
自分の認識だと、「私なんてテキトーな人間だよ」「ぜんぜん落ち着いていなくて、緊張しまくりだよ」と思うかもしれない。
でも、外からだと、心の中は見えない。
そうであれば、あなたは「しっかりしている」し、「落ち着いている」のだ。
「心の中の自分」と「まわりから見える自分」を分けて考えよう。
「西村博之」という人格で僕は生きているが、「ひろゆき」というキャラクターはどんどん一人歩きしていく。
それに似た感覚を、あなたも持ってみるといい。
たとえば、あなたの友達に、あなたのモノマネをされてイジられたとしよう。