それを笑って許せるだろうか?
 友達にイジられて怒るような人は、あまりまわりから信頼されない。
「私って、そんなしゃべり方かな~」と、笑って許せる人に、影響力は集まる。
 一瞬の受け止め方が大事だ。
「心の中の自分」と「まわりから見える自分」を切り分けることで、人は謙虚になれる。

 そもそも、相手も心の中では何を思っているかわからない。
 でも、それを考えはじめたらキリがない。

「あなたは賢い(ように見える)」
「あなたはしっかりしている(ように見える)」

 というように、自分ではわからない見方をされているだけだ。
 本心のことは深掘りせず、相手からの印象は、まずはそのまま受け止めよう。

 人は謙虚になることで自分が思っている以上の「影響力」を持ってしまう。
 その現象について、本書では僕の実体験を元に明らかにしようと思う。

 そのキーワードになるのが、「バイアス」だ。
 バイアスとは、一般的に認知のゆがみのことを指し、偏見や誤解のことをいう。
 人間の脳を持つ限り、人はバイアスから逃れられない。

 たとえば、ハサミには、絶対に切れないものがある。
 そのハサミに付けられた「値札のタグ」だ。
 他のものに付けられたタグは切れるのに、自分に付いているタグは切れない。
 それがまさにバイアスだ。
 その扱い方について、この本では語っていく。