M.O.F.ではどんな審査が行われるのか
実際にM.O.F.でどんな審査が行われたのか、関谷氏に聞いてみた。
◎1次審査(パリ、2022年4月20日)
○筆記審査:1時間で、問題数60問
○実技審査:
午後の例→豚のフィレ肉を使用した料理 グレープフルーツソース
(午前と午後でメニューは異なり、それぞれ1皿を仕上げる。問題用紙がテーブルに伏せてあり、それをめくり、5分でメニュー内容を理解して、その1皿を12分で作る)
◎2次審査(パリ、22年9月28日)
○実技審査:
メニュー
・前菜:燻製(くんせい)した魚介とフルーツと根菜を使ったものと卵ときゅうりのガスパチョのジュレを2種のソースで
・メインディッシュ:骨付き豚ロースの塊のロースト、4種の付け合わせとソース
(4時間で前菜1品、メインディッシュも1品。それぞれ4皿ずつ作る)
◎3次最終審査(グルノーブル、22年11月16日)
○実技審査:
メニュー
・前菜:ホタテ貝とエスカルゴの卵のタルタルにオマールエビを合わせた1皿 かんきつ風味 秋野菜とフルーツを載せたウニバターのタルティーヌ
・メイン:鹿肉のポワレ チョコレート風味のソース 5種の付け合わせ
・デセール(デザート):ウフ・ア・ラ・ネージュの王冠仕立て
シャルトリューズのムースとピスタチオをアクセントに
(最初からの4時間に前菜2品、4時間半でメイン1品、最後のトータル5時間でデセールを提供。それぞれ8皿、全部で32皿を5時間以内で作る)
審査基準は何かと問うてみたが、「最後まで分からずじまいだった」と関谷氏は言う。言えるのは、高いクオリティーのベストな1皿を、時間内に仕上げる、それをやるしかない、ということだけ。
事前に、直近3回分のメニューは確認ができていた。いまの時代、Web検索すればある程度は分かるが、それ以上前に実施された内容となるとネットに情報はなく、皆目見当もつかない。筆記の審査問題も、19年と15年は見つけることができたがそれ以外は不明。もちろん、同じものは出題されないので、傾向と対策だけは準備していた。
1次審査の参加者は500人程度。1次審査の材料は、あらかじめ用意されている。調理する際に利用するであろう機材は、自分で準備するよう事前に伝えられてはいた。しかし、そこからではメニューが何も想像できないものだった。1次審査の実技は基礎的な試験だ。しかし実技審査の時には、「これはどうするのか」と聞かれることがあり、その回答の的確さも審査対象だった。
また、2次審査からはコミ(調理助手となる補助役)が付く。2次は1人、3次では2人付いた。コミは地元の専門学校の生徒で、審査開始5分前に初めて顔を合わせる若者たちだ。
コミへの指示や指導も、審査項目の重要なポイントの1つとなる。彼ら彼女らもプレッシャーを感じる中での調理補助だったので、最初30分はリラックスできる話をしながら進めた、と関谷氏は振り返る。