2:自己理解

 挑戦権(資格)を得るために大切なこと、その2は「自己理解」です。自分と企業・職種をマッチングさせる上で、自分に対する理解が誤っているとミスマッチを引き起こす可能性があります。就職活動で「自己分析が大事」だと言われて自己分析したつもりの社会人でも、働いてみてから「自己分析が全然できていなかった」「自己理解が不足していた」と気づくことがあります。

 社会人になってキャリアを構築していったり、転職活動をしたりする際にも自己分析は求められますが、やはりこれは難しいものです。なぜなら、分析には情報やデータが必要なのに、実務経験が少ないうちは「働いているときの自分に関する情報」がまだまだ不足しているからです。情報がないのに分析しようとしても、無理があります。

 そのために必要なのは「働いている自分」についての情報を得ることです。もちろん、少し働いたくらいでは分析に足るほどの情報が得られない場合がありますので、できればプロジェクトや部署異動など、いくつか異なる仕事をして情報を得ていくことで、分析・理解はしやすくなっていきます。

 実際に実務に取り組むと、自分の中で、

「これはピンときた/これにはピンとこなかった」
「こういう人たちとは一緒にいてワクワクする/こういう人たちとはできれば一緒にいたくない」
「こういうサービスだとやる気が出てくる/こういうサービスは伸ばしていくモチベーションが湧かない」
「こういうマネジメントのされ方は合っている/合っていない」などが相対化されて見えてきます(自分の中での相対化)

 また、「他の人はそう感じなかったようだけど、自分はたしかに感じた」

「他の人は簡単にやっているけど、自分にはうまくやれる気がしない」

 というようなこと(他の人との相対化)は、自分らしさをわかりやすくしてくれます。また、一緒に働いた人からのフィードバックが得られたらそれも分析材料になるでしょう。

 このように、自己分析はデスクワークとして行うだけでは不十分で、フィールドワーク(=実務)とネットワーク(=人とのつながり)によって深めやすくなります。