切っても切れない
プロスポーツと地域の関係

 この週末は花見にも行かず(花粉症なので)、昼間は選抜高校野球、夕方からは大相撲というスポーツ観戦で時間を過ごしたが、改めてスポーツで重要な意味を持つのは「地域性」だということを感じた。

 高校野球は自分の出身地や住んでいる地域の高校を応援するという感覚が根強くある。また、今大会は北海道から出場した遠軽と北照の2校がともに初戦を突破した(これは24年ぶりの快挙)。今、冬の北国は厳しい風雪に襲われ、満足な練習はできなかったはずだ。が、そのハンデを乗り越えて2校は勝ち上がった。見る側はそうした背景も頭に入れて一球一打を見守るわけだ。

 大相撲は白鵬が盤石の強さを見せて全勝優勝したため、星取に対する興味は薄れたが、場所が開かれた大阪のご当地力士、豪栄道と勢が登場すると場内からはひと際高い歓声が起こった。力士が土俵に上がる際、場内放送は出身地を紹介するが、これも伝統的にファンが自分と同郷の力士を応援する傾向があるからだ。

 JリーグではJ1、J2に次ぐカテゴリー、J3を来年からスタートさせることを決定した。現在はJ1=18、J2=22の計40クラブが30都道府県に渡って存在するが、J3設立でそれがさらに増えるわけだ。J3は10クラブからのスタートが予定されているが、参入を希望し、そのための資料をJリーグに提出したのは12クラブ。この中には現存の30都道府県以外の地域のクラブも多い。カマタマーレ讃岐(香川)、ブラウブリッツ秋田、ツエーゲン金沢(石川)、福島ユナイテッド、MIOびわ湖滋賀、FC琉球(沖縄)、グルージャ盛岡(岩手)、レノファ山口の8クラブだ。

 今後は施設や財政など参入条件を満たしているかが審査され、9月に10クラブが決定する。また、これ以外の県のクラブ、ヴォルカ鹿児島、奈良クラブ、鈴鹿ランボーレ(三重)などが参入を目指しており、数年後には全国47都道府県にJリーグクラブが存在する時代が来るだろう。そうなれば「地域対地域」の構図がより明確になり、Jリーグも高校野球のような地域性で盛り上がる新たな楽しみ方が生まれるかもしれない。