でも、よく考えてみてください。きちんと成果を出していたり、努力や工夫をしていたりするのであれば、それを上司に理解してもらうことは至極まっとうなことです。

 副業や業務委託(フリーランス)で仕事をする人が増えてきていますが、上手くいく人は当然、仕事をいただくためにアピールをしています。良い仕事ができたら、継続するように実績をアピールしています。会社員もここは見習う必要があります。

 ここでお伝えしたいのは、良い意味でのアピールはしっかりするべきだということです。そのアピールが、上司も納得するような種類のものであればなおさらです。適切なアピールは上司からも高く評価されます。

「アピール」は自己主張ではない
認識を間違えると逆効果の危険

 きちんと評価されるための前提として、「アピール」は必要です。一方で、「アピール」という言葉にネガティブなイメージを持っている人がいるかもしれません。

 たしかに、他者を押しのけて自分だけをPRする人や、事実以上にオーバートークをする人をイメージしてしまうと、そのような認識になるのも仕方がありません。ですので、ここで言う「アピール」の定義をお伝えします。

 私は、「アピール」とは、お互いのニーズを満たすために対話すること、と定義します。決して、一方通行で自己主張することではありません。

 あなたが思い浮かべるネガティブなアピールはきっと、主語が「自分」になっているのではないでしょうか。そうなってしまうと、対話にはなりません。聞いている方も嫌気が差します。

 大事なのは、双方向での対話の中で、お互いのニーズ(欲求)を満たすことです。上司にも部下であるあなたにも、満たしたいニーズがあります。ですから、中長期でお互いのニーズが満たされるように、「win-win」を目指す対話をすることです。

 就職活動の面接を例に挙げてみましょう。自己アピールをしてくださいと言われたら、どんな話をするでしょうか。多くの人は、自分の強みをアピールすると思います。

 例えば、協調性や周囲を巻き込む力が強みだとしたら、そこをアピールするでしょう。それが間違っているわけではありません。ただし、その企業が独創的で、他の人が思いつかない発想力を求めている場合、その自己アピールでは企業側の期待に応えることはできません。

 つまり、「アピール」とは、自分のことを一方的に伝えることではなく、相手の期待や要望とすり合わせていく共同作業だということです。先ほどの面接の例では、事前に企業の求める人材像を調べておけば、一方通行での自己アピールは回避できます。