しかし、これが人事評価になると、多くの方が、「俺が俺が」「私が私が」になりやすくなっているのが実情です。上司と部下の関係の場合、上司が求めている期待や要望に沿ったアピールをすることが大切です。
例えば、上司が資料作成をあなたに依頼したとします。その上司は、近々の会議で使いたいため、ラフでも構わないからとにかく早く提出してほしいと思っています。
しかし、あなたは内容の充実した資料こそが必要だと思って、時間をかけて緻密な資料を作成して上司に持っていきました。これは、上司の期待に応えているでしょうか。
内容が充実していることが悪いのではありません。上司のニーズに応えていないのが問題です。そして、部下本人は、こんなに充実した内容の資料を作成したのに評価されないのはおかしいと考えてしまいます。こんな状況が、対話不足でいろんな場所で起こっています。こんなにもったいないことはありません。
中にはアピールが苦手な人もいるかもしれません。謙虚な性格の方は自分のやったことに対して「アピールするほどでもない」と思いがちです。実はちょっとした気遣いや行動もアピールになります。
例えば、上司が実績よりもそこに行き着くまでの過程を重視するタイプであった場合、自分の業務について適宜進捗を共有するというのも、立派なアピールになります。
むしろ、こういった上司の場合、進捗の共有なしに結果を見せてしまうと、たとえ目標達成できていたとしても、プロセスを共有するという期待に応えることができていないため、アピールに成功しているとは言えません。
岡田洋介 著
私の顧問先の社長さんは全社員に日報を書いてもらい、それらの全てに毎日、目を通していました。社長が読む日報であるため、社員は良いことばかり書く傾向にあったそうです。
しかし、社長が求めていたのは現場だからこそ知ることができる、お客様の生の声や競合のリアルタイムの動きでした。その社長の期待をわかっている社員は当然、そこにフォーカスした内容を書きましたが、多くの社員はそれができませんでした。ポイントは、相手のニーズを理解するということです。ニーズを理解していないと、努力がすべて水の泡になってしまう可能性すらあります。
思い込みを捨てて、上司と対話をし、上司の期待を理解する。そして、その期待に応える行動を取る。ただ自分の実績を滔々と語るよりも、その姿勢が何よりものアピールとなることを覚えておいてください。