練馬近郊でブドウの生産から
醸造まで「東京ワイナリー」
西武池袋線の大泉学園駅から徒歩で10分程の場所にある東京ワイナリーは、2014年に設立した都内初のワイン醸造施設です。
今回のツアーふたり目の魔法使いでもある代表の越後屋美和さんは、元々野菜の仲卸として働いていましたが、多くの東京の農家と関りを持つうちに次第に東京での農業に興味を持ち、東京産の食材とワインを楽しめる場所を作りたいという思いから、自ら果実酒製造免許を取得し、東京ワイナリーをオープンしました。「面白そうなら動いてみる!」をモットーに東京産の農産物の発信をしています。
店内はアットホームな雰囲気で、カウンター越しに見えるチョークアートが目を惹きます。カウンターには店オリジナルのワインが並べられており、なかでも1年ごとにデザインを公募で募集している「ねりまワイン」のエチケット(ワインのラベル)は必見です! 東京ワイナリーのいたるところで飾られているあの動物がエチケットにも描かれています。
店のすぐ隣にある醸造所は店内の小窓から見ることができますが、今回は特別に部屋に入れてもらいました。人間の背丈ほどのステンレス製のタンクが何本か並んでいて、日本各地のブドウをはじめ、練馬で栽培されたブドウのみを醸造しているタンクもあります。今では年間で約1万本のワインを生産していて、店頭やネットショップ以外でも関東を中心に日本各地の酒店や練馬区の観光案内所で販売しています。店頭では量り売りも行っていて、蓋の閉まる入れ物を持参すると100mlから購入することができます。
店を出た後は、東京ワイナリーが管理する練馬区内のブドウ農園「Tetto Vin.」を案内してもらいました。
ブドウ狩りの時のイメージで、ブドウは頭上に実を付けるものを想像していましたが、この農園では垣根方式を採用していました。この方が日光によく当たり、樹の管理がしやすいのだとか。1月は葉も実も付いていないので枝だけの状態ですが、2月からは今シーズンの収穫に向けて木の皮を剥ぐ作業や剪定作業を行うのとのことで、1年を通して唯一ブドウの木が“休んでいる”状態の時に見ることができました。
関東ローム層とよばれる練馬の土壌は昔から野菜栽培には向いていますが、本来岩がごつごつして水はけのよい土地を好むブドウにとってはストレスが少なすぎて実の色づきや味に影響が出ます。越後屋さん自身もワインの醸造ではなくブドウ栽培に先に手を出していたら続いていなかったというほどワイン用のブドウ栽培には労力がかかるそうです。さらに都市型農業ならではの日当たりや農薬散布などの問題もありますが、個々のブドウの収穫時期の見極めや農薬散布時間をなるべく近隣住民に迷惑が掛からない形で行うなど、住宅地と農地の共存を図っています。
さまざまな試行錯誤や地元サポーターの手助けもあり完成したワインは飲むときにぜひ練馬の風景を思い浮かべながら飲んでもらいたいとのことでした。
東京ワイナリーではワイン作りや農業に興味がある方を対象にワイン作りのサポーターを募集しています。詳しくは公式HPでご確認ください。