都内唯一の味噌蔵
「糀屋三郎右衛門」

【練馬】大根だけじゃない!味噌蔵もワイナリーもある23区の隠し玉、その秘めたる魅力蔵に一歩入ると外とは全く違う空気感

 まず訪れたのが、西武池袋線の中村橋駅近くの住宅地にある味噌蔵の糀屋三郎右衛門です。「昔みそ」と書かれた店先ののれんが印象的で歴史を感じる建物は周りの住宅とは異なる雰囲気を醸し出し、ここが練馬の住宅地であることを忘れさせます。

 今回施設内を案内してくれた七代目の辻田雅寛さんは、10人の魔法使いのうちのひとりです。伝統を守りつつも、新しいものも取り入れるチャレンジ精神が評価され、練馬区の魔法使いとして“召喚”されました。

 味噌の原料や、熟成させる木桶の話、糀菌の話などを巧みな話術で説明する辻田さんの話のなかで特に興味深かったのが、同じ糀菌を使っても、気温や湿度、菌の調子によって微妙に味噌の味が変化するということです。味を調えるのがさぞ大変だろうなと思ったのですが、糀屋三郎右衛門ではその微妙な味の違いを商品のアピールポイントとして販売しており、複数の味噌を混ぜるなどして味の統一はしないそうです。

 スーパーで売られている味噌とは違い、毎回味が微妙に異なるからこそ、飽きることなく長年愛され続けているのかもしれません。

【練馬】大根だけじゃない!味噌蔵もワイナリーもある23区の隠し玉、その秘めたる魅力糀がはいった木箱がずらりと並ぶ

 蔵の奥にある糀を育てる室(むろ)も見学させてもらいました。

 出入り口は大人がひとり屈んで入るのがやっとの大きさです。室は温度と湿度が徹底管理されているため室内に入るとモワッとした湿度とほんのりした温かさを感じます。左右の棚にびっしり並べられた木箱のなかではフワフワの糀菌をまとった米が今か今かと出番を待っているようでした。ここで3日かけて作られた米糀は味噌づくりのほか、甘酒や塩こうじなどの商品になります。

 糀屋三郎右衛門の商品は2023年に製法や原材料などの厳しいチェックを通りハラールの認定を受けました。これからは昔みそのおいしさを海外にも発信するためインバウンドツアーを受け入れたり、環境保全のため味噌のパッケージ材料の見直しを計るなど今までになかった試みを八代目とともにどんどん広げていくそうです。

 個人での蔵内、室内の見学はできませんが、定期的に公民館などで味噌づくり教室を行っているので、昔ながらの味噌作りに興味がある方はぜひ参加してみましょう。

糀屋三郎右衛門
住 所    東京都練馬区中村2-29-8
電 話    03-3999-2276
URL     https://www.kouji-ya.com/