装備面もNXからスタートしたドアのeラッチシステムなど先進的だ。ただしシートの電動機構は運転席のみ。シートの空調はヒーターのみと、装備面での“選択と集中”は少々気になる。

 LBXはシートポジションもこだわりがある。実際に座るとクロスオーバーというよりハッチバックに近い。落ち着いた印象だ。リアシート/ラゲッジは必要十分のスペース。格別広くはないがLBXのキャラクターを考えれば納得である。

 3種のグレードは、インテリアコーディネートに準じている。COOL=クールはシンプルで洗練されたモダンな空間。Relax=リラックスは、落ち着きと華やかさを両立したハイラグジュアリー志向。この2タイプに加えて、表皮色/シートベルト/ステッチ/配置構成/トリム加飾など約33万通りの組み合わせが可能なオーダーメイドシステム、Bespoke Build=ビスポークビルドを特別に設定する。Bespoke Buildはセンターピースのシルバー塗装や専用エアロパーツ/フィルム加飾(OP)などもプラスされる。

走りは電動車フィール満点
メカニズムはほぼLBX専用設計

 パワートレーンは全車共通の1.5Lハイブリッド。形式だけを見るとヤリスクロスの流用に思えるが、実際はその面影はなく、ほぼLBX専用設計である。モーターと組み合わせた直列3気筒1.5Lエンジンは音・振動を抑えたバランサーシャフト付き、ハイブリッドシステムを含むトランスアクスルは高出力なノア/ヴォクシー用の第5世代、そしてバッテリーは大電流を流せるバイポーラ型ニッケル水素を採用した。

 その走りは“電動車感”がかなり強め。発進時はモーターが担当し、アクセルをかなり踏み込んでもエンジンは始動しない。さらにエンジンが始動しても静と動のギャップは少ない。アクセル全開付近では3気筒のビートが聞こえるが、軽やかなサウンドのみで振動やザラついた感触はしっかりと抑えられている。システム出力は100kW。個人的には高速域でもう少しパンチがほしいが実用域は十分以上のパフォーマンスを披露する。