識学の中身を簡単にいえば、人間の「意識構造」に着目し、組織内に生じる数々の「誤解」と「錯覚」を最小化することで、経営目標を達成するための組織改革をするメソッドだ。
「経営者がうすうすと感じていることをうまく言語化している。識学の内容を知った、ほとんどの経営者は『確かにそうだよね』と、膝を打つだろう」
そう指摘するのは、スタートアップ転職を手掛けるキープレイヤーズの代表で、エンジェル投資家としても名高い高野秀敏氏だ。高野氏自身、識学に出資しており、顧問を務めていたこともある。
「例えば、結果主義の必要性はほぼ全ての経営者が思っているが、それをそのまま現場に落とすと、批判が生じたり社員とのあつれきが生じたりする。その際に、識学というメソッドが確立していることで、経営者としては実行しやすい環境になる」(高野氏)
また、近年のはやりの組織論に疑問を呈し、従来型組織や業務マニュアルを再評価しているのも識学の特徴だという。
「昨今は『フラット型組織』といった概念が広まっているが、その良しあしは別として、マネジメントに苦労している人が増えているのも事実。この点、識学は、改めて『ピラミッド型組織』の必要性を訴え、それを軸とした管理手法の実践で効果を上げている」と高野氏。