今直面する問題を解決する力、
健全な精神を取り戻すための書

「悲観論」「慢心・過信」は現実の状態を冷静に観察せず、同時に自分のアタマを使って問題を考える努力を放棄してしまった姿だと言えます。なぜなら、問題を正確に把握することと解決への道筋を探ることの連鎖に欠けているからです。

「悲観論」を持っても構いませんが、問題解決の気力や強い意志を失ってはなりません。「慢心・過信」は本当に相手の実力を見極めた上での判断であるか否かが重要な点です。幕末維新は、300年間続いた江戸幕府が消滅し、武士階級という身分が消えた時代です。その引き金となった西洋列強は高い技術力と文化で、当時の日本を圧倒していました。

 技術力差、国家の勢力差を考えずに、蛮勇を振るって戦えば全面敗北をしたでしょうし、悲観論にただ飲み込まれるだけなら、隷属的な関係を受け入れて西洋諸国の植民地になったかもしれません。幕末明治の日本は、第3の道を自らつくり出し歩みました。その道しるべとなったのが、歴史的ベストセラー『学問のすすめ』だったのです。

 日本の長い歴史上でも極めて難しい時代の狭間に、諭吉の名著『学問のすすめ』は日本人全員に健全な精神を取り戻させて、新たに直面する艱難に対処できる気概・精神力・合理的思考力を与えたのです。未来への不安や恐怖、多くの変化への焦燥感に日本全体が包まれている今、改めて幕末明治の日本人の精神と合理的思考を支えた歴史的名著を、私たちが紐解くべき時を迎えているのではないでしょうか。

 なにしろ『学問のすすめ』の品質効能は、140年前の歴史が保証してくれています。俗説や妄説、もっともらしいがまったく役に立たない奇抜な論理などより、よほど現在の日本と私たち個人の問題解決に役立つヒントがあるはずです。(第3回に続く)※4/4掲載予定です


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