童心に返って雪遊び
スノーシューでザクザク歩く

 群馬県と長野県にまたがる湯ノ丸山は、山麓のスキー場まで車で行くことができ周辺に宿泊施設もそろっている。宿泊地の一つ鹿沢温泉は、初代南極観測隊隊長であった故西堀栄三郎さんが学生時代、宿泊中に『雪山讃歌』を作詞したことから、「雪山讃歌発祥の温泉」とも呼ばれる。

「スキー場のリフトの下をてくてく登っていくと2時間ほどで山頂です。スノーシューを楽しむのもいいですね」

 スノーシューは、現代版かんじきともいえる雪上歩行具で、新雪でも足が沈まず歩くことができる。登山靴のまま装着し両手にストックを持つが、スキーのように練習をしなくてもすぐに使える。

「下りでは、お尻を雪の斜面につけて滑る通称“シリセード”も楽しいです。初心者は安全な場所で行ない、凍った斜面や急斜面は避けるようにしてください」

 子どもの頃ソリ遊びをした人なら、自分自身がソリになったようなものだと思えばよい。童心に返って雪で遊ぶのは冬山ならではの楽しみである。そして「頂上は天気が良ければ浅間山ものぞめる」とのこと。ちょうど群馬県と長野県の県境にあり、雪化粧した上州と信州の名山を眺望できる。

登山歴60年の達人が陶酔する6つの冬山、白く輝く雄大なパノラマスノーシューで湯ノ丸山を登る中村さん  写真提供=中村みつを