ボーイング幹部は東京で記者会見を開き、787の改善策について説明した
Photo by Ayako Suga

 バッテリー発火トラブルで運航停止となっていたボーイング787について、ボーイング社は「早ければ数週間以内に運航再開できる」との見解を示した。発火の原因と想定し得る80の要素を解決し、さらに二重三重に防御策を施したとしている。

 だが、肝心の事故原因は究明されていない。米国で米連邦航空局(FAA)に勧告を行う国家運輸安全委員会(NTSB)が3月に出した中間報告では、787の認証プロセスではバッテリー発煙の確率を飛行1000万時間に1件としていたが、実際には5万2000時間未満に2件発生したことが明らかにされている。

 全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)共にFAAと国土交通省が承認すれば、ただちに787の運航を再開させる構え。早期の運航再開で収益向上に結び付けたいという本音が見え隠れする。

 航空ジャーナリストの青木謙知氏は、「航空機のトラブルでは、原因究明されないまま包括的な処置で運航するのは通常のこと」と説明。例えば、主翼に亀裂が生じたエアバス380に対して、欧州航空安全局(EASA)は非破壊検査実施での運航を認めている。JALの植木義晴社長も、「(解決策は)プロから見ても従来通り安全な方式。わかりやすく説明することが課題」と説く。だが、利用者が戻ってくるかどうかは微妙だ。

 787は電子制御という新システムを採用しており、FAAが運航停止命令を出したのは34年ぶりであることからも重大さがうかがえる。収益重視のあまり、安全性追求をおろそかにしていると利用者に映れば、そっぽを向かれるのは確実だ。両社の背負った課題は重い。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

週刊ダイヤモンド