・町長室で、「彼氏おるんか」と聞かれ、「いないです」と言ったら「そうやな、○○にはまだ早いな」と言われた

・体調が悪く辞めたいと町長に相談したところ、「更年期じゃないのか、生理は終わったのか」と言われた

 このような具体例の列挙が99個続く。

 セクハラの話になるとよく、「『髪切った?』と聞くだけでセクハラになる」などと言われるが、「髪切った?」と1回たずねただけで処分されたケースは、日本中を探してもおそらくないだろう。「髪切った?」が不快に思われる人は、それ以外にもなんらかのことをしている。それがこの「99のセクハラ」から示されることではないだろうか。

 ハラスメント被害の報道は、どうしても要約されがちで、被害の全実態が示されづらい。今回の件も、このようにして列挙され「99のセクハラ」と示されなければ、「大したことではないのに」「犯罪ではないのに」と言われてしまったかもしれない。

 ハラスメント報道を見て「何がセクハラかわからない」と言う人でも、さすがにこれを見れば、職場でこういった目に遭い続けてきた人のストレスの一端が理解できるのではないだろうか。

 なお、記者会見で職員に抱きつく行為に関して問われた小島町長は、これを「ないです」と否定している。

子どもや孫のような気持ち?
間違った危険な「スキンシップ」思考

 99個のセクハラは、内容が似ているものも多い。頭を「ポンポン」されたり、肩や手を不必要に触られたりしたという被害が複数あり、常習的に行われていた可能性が高いように感じられる。

 列挙された99項目を見て、町長は職員を自分の家庭における子どもや孫か何かだと思っていたのだろうか、と感じた。もちろん、子どもや孫であっても相手の意に反して勝手に触ってはいけないのだが、まるで「円滑なコミュニケーションのためにはスキンシップが欠かせない」と思っていたかのように、頻繁に、自分の気の赴くままに接触を求めていたように受け取れる。間違った「スキンシップ」思考だ。