また、こんなケースもあった。
「(町長に)議員時代から、頻繁に頭をポンポンされていた。町長就任後も頭をポンポンとしてきたので、「そうやってやられるのは好きじゃないのでやめてください」と言った。そうすると、しばらく触れられなくなったが、あることで町長から叱責を受けた次の日、町長室で「昨日は怒って悪かったな」と言って、両手で頭をポンポンと触られた」
アメとムチの使い分けだと思っていたのだろうか。しかし頭ポンポンは、やられる側の部下にとってはどちらもムチである。叱責された後という、部下からすると拒否しづらい状況を作ってから「ポンポン」をしているようにも受け取れる。これもまた、まるで自分の子どもをしつけるかのような意図でやっているように感じられる。
当然ではあるが、職員は子どもではないし、町長の家族でもない。たとえ部下であっても、それが失礼にあたると認識しなければならない。
波紋を広げた「頭ポンポン」
どこからがセクハラなのか?
記者会見で町長は頭を「ポンポン」する行為について「セクハラと思っております」と答えたが、続けて「頭を触ること自体がね。私らの時代は、頑張った子、あるいはよくできた子は頭を撫でてもらったという経緯があるんですね。時代錯誤と言われましたが、その認識は十分、今自覚しておりますので、それ以降は子どもに対してもやっておりませんので。小さい子どもを見ると頭をなでる癖があるので、それも一切やめました」と回答している。
結局今はやめたと言っているが、自分の時代にはこれが問題なかったのだと釈明したいような口ぶりだ。
今回に限らず、セクハラやパワハラについては、「どこからがハラスメントになるのかわからない」「昔は問題なかったのにいきなり言われても」といった反応が、特に昭和世代から聞こえてくることが多い。もちろん、世代が上でも下でもハラスメントをしない人はしないので、一概には言えないのだが、ハラスメントや体罰に対する認識が昭和はゆるかったのは事実だろう。