一見それらしい文章が…
しかし問題が山積み!

 図2で、左の段は入力内容、右の段は生成されたアウトプットのイメージだ。最初に、自分がどのような状況にあるのか、それに対して何をしてほしいのかを簡潔に入力する(左の段、言語は問わない)。

 続いて、生成してほしい文章のスタイルを「#条件」に入力。以下、同様に「#」でフラグを立てて反映してほしい項目を入力する(#の使用は必須ではないが、一般的によく用いられる)。条件指定の際「定量的に」という指示を出しておくと、回答に複数の具体例が提示されストーリーを作りやすい。

 最後に、生成する文章の構成を指示する。ここは「#構成」として「タイトル」「前置き」「課題」「決意」「具体的なアクション1~3」「成果」「タイトルの繰り返し」の順に各項目を並べる形を基本パターンとして設定する。なお、条件などの入力の際には「です・ます調」でAIに丁寧に依頼するスタイルの方が、そして、無償版(GPT-3.5)より有償版(GPT-4)の方が生成精度は高くなる。

 生成ボタンを押すと、ほどなく自己PR文が表示された(右の段)。内容を検証してみよう。

 一見すると、それらしい文章ができたように見える。だが、結論から言えば、これでは選考を通過できないと岡本氏は指摘する。主な問題点は次の通りだ。

■問題点(1)
「法人営業」「国際的なビジネス」という用語使用の問題。学生が企業の「法人営業」「国際的なビジネス」の業務内容を具体的に知っているとは考えにくい。ましてや、そこに自分の能力が生かされるかは全くの未知数。

■問題点(2)
「証明しています」「確信しています」という言い回し。自分の経験で得たことを、無理に業務で求められるであろう能力と結び付けているため論理に飛躍が生じている。また、表現として強調し過ぎの感が否めず、本心かが疑われる。

■問題点(3)
「貴社の成長に貢献したい」は、前述の通り、まだ面接で企業側と話をしていない段階で「貢献したい」と言っても信頼性が感じられず、違和感が残る。

■具体的なアクション 
 具体的な要素を入力していないにもかかわらず「専門書」「オンライン」「模擬テスト」「会話練習」といった言葉が生成されている。これらはAIによる”創作”であり、AIとしては、「定量的に書いてください」という指示に従い、定量的に書くための情報を収集して”正しく”回答したにすぎない。