大人が土いじりで童心に返る
まずは「手びねり」コースからスタート。使う粘土の基本重量は300グラムだが、100グラムずつ合計500グラムまで増量できる。量が多いほど当然大きな作品ができる。今回はせっかくなので200グラムの“特盛り”といこう。作るのはビアマグカップ。手作りの器で飲む一杯は格別だろう。
最初に半分量の粘土の塊を手に取り、真ん中から押し潰し、穴の開かないドーナッツ状にしていく。これがマグカップの土台となる。ちなみに取材は2月上旬。前日に都内で積雪があった寒い日で、とにかく粘土が冷たい! 自然の厳しさを指先で感じながら、辛抱強く形を整えていく。
穴の開かないドーナツを完成させたら、端を上に伸ばしていく。マグカップの胴体になる部分を作るのだ。見よう見まねで手を動かしてみるが上手くいかない。どんどん横に広がって、気づけば皿のように。いやいや、作りたいのはマグカップだ。
「あまり力を入れず、手数をたくさん入れて。ギャザーを作るように寄せて上げるときれいに形ができますよ」
ギャザーとは「集める、寄せる」という意味で、服飾の世界では布を縫い縮めて立体化することを言う。なるほど、馬場さんに言語化してもらい、ようやくコツが掴めた。こういう体験は教えてくれる人の力量も重要である。
目標とする高さの半分くらいまで来たら、残りの粘土を目分量で3つに分け、手のひらでコロコロと転がし、紐状にする。これを紐づくりというが、これを輪にして土台の上に積み上げていく。このコロコロが楽しい。こんな風に手を泥だらけにして遊ぶのはいつ以来だろう。思わず童心に戻る。
馬場さんに手直ししてもらいつつ、なんとかビアマグカップの原型が完成。取っ手を犬の形にしたのは、小学3年生の娘に「パパすごい!」と驚いて欲しいからだ。果たして思惑通りにいくだろうか。最後に釉薬の色を選んで馬場さんに預ける。焼き上がりは約1ヶ月後。完成次第自宅まで配送してくれる。