人と組織が自ら動き出す企業変革手法「カスケードダウン」入門(2)〈PR〉

「経営計画を達成したい」「生産性を向上したい」「DXを加速したい」「組織風土を変えたい」「人的資本経営に取り組みたい」「離職増加をくい止めたい」……。経営陣は将来の企業の姿を描きつつ、さまざまな変革に取り組むものの、「何をやってもうまくいかない」「何度やっても結果が出ない」という企業も少なくありません。

『カスケードダウン――人と組織が自ら動く経営戦略の浸透策』は、そんな悩める企業のための変革手法「カスケードダウン」のノウハウをまとめた1冊です。本連載では、企業変革の勘所とカスケードダウンの基本を3回にわたってお伝えします(今回は第2回)。

多くの企業で成果が見えない
「人的資本経営」

 2020年9月、経済産業省が発表した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書」(「人材版伊藤レポート」)をきっかけとして「人的資本経営」の考え方が広まり、大手企業を中心にさまざまな人事施策の取り組みがスタートしました。そこから3年半程たちましたが、現在、各企業の状況はどうなっているでしょうか?

 企業に聞いてみると「いまだ進行中」が大半を占め、「企業価値の向上につながった」あるいは「経営が期待する業績成果が出た」という声はほとんどありません。

 多くの企業では、人材不足、離職者の増加、社員の士気の低下といった問題がより深刻化し、人事担当者からは「問題山積で本腰が入らない」「はっきり言って形骸化している」「ゴールが全く見えてこない」といった悲痛な声も聞こえてきます。

 人的資本経営と密接に関係しているパーパス経営も盤石ではありません。長年にわたりパーパス経営を実践してきた損保ジャパングループが保険金不正請求問題や企業向け保険料の価格調整問題を起こしたことで、「パーパス経営に死角はなかったのか」、そんな疑念を取り上げるメディアも増えてきました。

 目下のところ、多くの企業の人的資本経営には、目立った成果が見られていません。逆に取り組みへの本気度が低下していき、やがて自然消滅していく企業も出てきそうです。