299円、399円……
なぜそこまで弁当の価格を下げるのか
ところで、お弁当が売れ筋のコンビニでは、客単価は710.9円(日本フランチャイズチェーン協会、2023年11月度)だ。
私たちは“心理的財布”を持ち合わせており、シーンごとに「これなら大体いくら支払ってもいい」という金額、相場感がある。つまり「心の財布」では、昼食のお弁当代には700円前後までは使っていいと考えていることになる。
オーケー銀座店で、予算700円で昼食を買うとどうなるだろうか。実際に買ってみた。
お茶ペットボトル(79円)+15品目のよくばりサラダ(189円)+「ロースかつ重」(299円)+紅鮭おにぎり(88円)=合計655円(税別)
→707円(食料品、軽減税率8%:税込み)
→686円(オーケー会員、3/103割引を適用した場合:税込み)
THE鮭弁当は399円、ロースかつ重は299円。オーケーとしては、弁当の単価を下げることにより、弁当購入客に対して副菜や総菜、飲み物の組み合わせでさまざまなクロスセルを図る戦略が可能となる。
クロスセルとは、関連する商品やサービスを併せて購入してもらう営業手法を指す。例えば、マクドナルドでハンバーガー1品だけを買って帰る顧客はほとんどいないだろう。多くの客は、ハンバーガーにポテト(サラダ)、飲み物をセットにして購入するはずだ。
毎日オーケーに来店する客も同様で、この組み合わせを変えることで飽きのこない購入を促せる狙いがある。時には、「自分へのご褒美」でアップセル(599円、ローストビーフ重など)も期待ができる。アップセルとは、顧客単価を上げる、上位モデルを購入してもらう営業手法だ。マクドナルドであれば、テレビCMで打ち出す期間限定商品が、価格が高くて付加価値のある商品ということになる。