好調ではあるが……
オーケー銀座店の課題とは?

 好調なオーケー銀座店だが、店舗指導や販売促進の拙書もある筆者の目から見ると、問題点も少なからずあると感じた。

 まず、せっかくの銀座店限定商品がどれだか分からないことだ。「銀座店限定」のPOPやシールを付けてはどうだろう。希少性が高まれば、「これは家の近くのオーケーで買えるから、銀座で買わなくてもいいや」と思うことがなくなり、銀座店で買い求めて、帰路に就く客が増える。

 また、フランスパンやピザのコーナーで、併せてパンナイフやピザカッターの販売も検討できないか。売り場に陳列場所がなければ、会計用バーコードが入った写真入りの細長いボード・カードを置いて関連購買にする。レジで精算後に、サービスカウンターで引き換えるようにすれば、場所も取らない。

 特徴(2)インバウンド需要への対応についても見ていこう。銀座店は海外からの旅行客もターゲットにしているため、サービスカウンターには、免税の手続きもできるようになっていた。しかし、同カウンターの店員に確認すると、英語や中国語など、外国語のパンフレットは存在しないという。

 一見の客、特に外国人観光客は、オーケー特有の会員価格と一般価格が並列して書かれている意味が理解できない。インバウンド客は免税制度を受けられるが、オーケー会員にはなれないので、会員価格で買い物はできない。

サービスカウンターサービスカウンターでは外国人観光客向けに免税手続きを行っている

外国人客に対して
「オネスト」ではないのでは?

 また、オーケー店内には「オネスト(正直)カード」が掲示されている。これは例えば、果物が「今は、まだ熟していない」など、正直に伝えることによりお店と顧客との長期の関係性を築き上げると評価されている施策だ。顧客満足を向上するためには、1回きりの商取引ではなく、長期で数多くの購入機会を設けて関係性を構築し、その中で利益を確保するという考えに基づいている。これはマーケティングの「LTV(Life Time Value)理論」にも当てはまる。「顧客生涯価値」、つまり「顧客から生涯にわたって得られる利益」のことだ。ここでも「損して得取れ」(一時的に損をしても、将来的に大きな利益を得られる)を実践している。