299円弁当に見る
「損して得取れ」精神とは?

 銀座店の299円弁当シリーズには、一番人気の「ロースかつ重」以外にも、「肉旨!メンチカツ明太弁当」「鶏しぐれ煮重」「小海老と大葉のあられ天丼」などがラインアップされていた。

 299円弁当の単体だけでは、小食の人でない限り、物足りなさもある。また、利益を確保するのも難しいだろう。しかし、700円まで弁当以外の商品も組み合わせてもらえれば、総額で利益を確保できる。まさに「損して得取れ」を実践しているのだ。

 オーケー銀座店の営業時間は、午前8時30分~午後9時30分。9時前に開店するので、出社前にオーケーに寄って昼食を事前購入してもらうことができる。銀座で働く人たちにとっては、昼時の「昼食難民」が解消される。ランチ営業の飲食店やコンビニから客を奪うこともあるだろう。また、午後9時30分の閉店時間は、デパ地下などよりも遅い。仕事が遅く終わった日でも、帰り道、駅に行く前に立ち寄ってもらえば、“ちょっと買い”も期待できる。

高い総菜や弁当、ピザも
飛ぶように売れていく

 オーケーのオリジナル商品といえば、ピザも人気が高い。ピザはホール1枚498円から各種揃っていたが、銀座店限定「手作りきのことベーコンのトリュフソースピザ」(729円)が一番高い価格だった。高いから売れ残るかと思いきや、目の前であっという間に棚からなくなり、なんとか最後の1枚を買うことができた。

銀座店限定の「手作りきのことベーコンのトリュフソースピザ」銀座店限定の「手作りきのことベーコンのトリュフソースピザ」

 また、同じく銀座店限定で、A5ランクの黒毛和牛リブロースを使用した「すき焼き弁当」(999円)が売り場になかったので、店員に確認すると、朝一番ですでに売り切れたとのことだった。

 もし、オーケーがディスカウントスーパーで、顧客の多くが安さに価値を見いだしているのならば、高額な商品ほど売れ残っているはずだ。しかしオーケーでは逆の現象が起こっていて、高額でも付加価値のある商品はすぐに売り切れる。同社の理念である「高品質・Everyday Low Price」が、しっかりと顧客の支持を得ていることを実感した瞬間だった。

 銀座店を訪問した平日昼前の時間帯には、湾岸タワーマンションや近隣の新しい高級マンション群の住民なのか、富裕層と思われる身なりのいい年配客が多かった。マロニエゲート銀座全体で、駐車場の台数が約200もあるので、車で買い物に来る顧客にとっても利便性が高いのだろう。