子どもが少し大きくなっても、親の悩みや不安は尽きません。今日もイヤな叱り方をしてしまったと、落ち込むことも……。きれいごとでは進まない子育てでうまく立ち回るために、23年間の小学校教師経験を含む40年超の実績のある教育評論家・親力アドバイザーの親野智可等:著『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)に頼ってみませんか。本連載では、多種多様な子どもたちとその保護者に向き合って生まれた「親がラク&子どもが伸びる」一石二鳥のテクニックを紹介していきます。
極論「これだけやっておけばよい」という子育ての極意
人が社会で成功し、幸せに生きていくためには、「非認知能力」と呼ばれる、数値では測りづらい力が決め手になるといわれています。非認知能力とは、忍耐力や積極性、向上心、協調性、コミュニケーション能力、自己肯定感など、社会生活を営むうえで絶対に必要となるさまざまな力やスキルのことです。
非認知能力は自然に身につけていくもの
そう聞くと、親のみなさんは子どもにぜひ身につけさせてやりたいと思うでしょう。でも考えてみると、親御さんたちご自身は、非認知能力をとくにどこかで習って身につけたという記憶はないのではないでしょうか? それも当然で、非認知能力は人が生きていくなかで自然に身につけていくものです。つまり、多くの体験を積むことが、非認知能力の発達には不可欠といえるでしょう。ですから、親のみなさんがお子さんにいろいろなところに旅行やレジャーに連れて行ったり、スポーツ、習い事、部活動などさまざまな経験をさせてあげたりすることは、とてもよいことです。
親の自己満足になっていたら効果がない
しかし、そのときに注意していただきたいことがあります。それは、その体験がお子さん自身のやりたいことなのかどうかということ。もしも親の自己満足になっていたら効果がないどころか、子どもが思ったような反応を見せなかったとき、がっかりしたり不機嫌な態度を見せたりすることで、かえって悪影響を与えてしまいます。
家庭が安心・安全な環境になっているか
そしてさらに大事なのは、そのような体験をさせる以前に、お子さんが毎日安心・安全な家庭環境で過ごせているかどうかということです。例えば、ご両親が激しい喧嘩ばかりしている家庭では、子どもは安心・安全を感じられません。なぜなら子どもというのは誰かに育ててもらわないと生きられないので、ご両親の仲のよさは、自分の生活や、ひいては命に直結するからです。そのような不安な状況に置かれていたら、非認知能力をのびのびと伸ばしていくことは難しいと言わざるを得ません。
心安らぐ環境があってはじめて、子どもは安心して自分の興味関心に従って行動することができます。子どもを伸ばそうとする前に、家庭が子どもにとって安心・安全な環境になっているか、振り返ってみてはいかがでしょう?
※本稿は『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。