【総フォロワー数18万人!】親力アドバイザーとしても活動する教育評論家の親野智可等氏は、「子育てそのものをラクにしていくことが、日本の育児、教育の最大課題」と指摘しています。
その解決の一助として、親に対するシンプルであたたかいメッセージを365個掲載した書籍『子育て365日』が、あらゆる年代の親の不安が消えると話題です。
この連載では、親野氏の子育てに対する考えや、親の心に刺さる言葉を紹介していきます。

愛情たっぷりの親が無意識に子どもを不幸にする3つの思い込みとは?(その1)Photo: Adobe Stock

昔ながらの子育ての「思い込み」にとらわれないで

 私は、小学校教師を23年間やってくる中で、また、教育評論家としての17年間の活動の中で、多くの親子を見てきました。

 そこで気になるのは、親はみんな我が子に対して愛情たっぷりなのに、子育ての不安からか、親子ともに幸せから遠ざかっているケースが多いことです。

 なぜそうなるかというと、現代においても、昔ながらの子育ての「思い込み」にとらわれることが多いからだと思います。

悪いところは、小さいうちに直さなくてはいけない

 子どもを不幸にする思い込みの1つは、「子どもの欠点は、小さいうちに直さなくてはいけない」というものです。

 たとえば片付けができない子に対して、「大人になってから直すのは大変だから」と、小さいときからきちんとさせようと、叱り続けてしまうことはよくあると思います。

 ところがこの考えは今では否定されていて、実際には「小さいときに直すほうが大変」なわけです。

 最新の発達心理学の研究では、「片付けができるかどうかはしつけではなく、生まれつきの要素が大きい」ことがわかっています。同時に「片付けができないことと、クリエイティブな才能には、顕著な相関関係がある」こともわかっています。つまり「その子が持って生まれた資質を、後天的に変えよう」とするのは非常に困難なのです。

 これには朗報もあって、「小さいときに片付けができなくても、大人になってから必要な場面が出てくると、できるようになる」こともわかっています。本人の内面的な必然性が出てくれば、人から言わなくても変わり、ある程度できるようになります。

叱る労力を、子どもと一緒に楽しむことに向ける

 もし「きちんとさせなくては」という親の思いが強すぎると、子どもを延々と叱り続けることになりますよね。子ども時代に否定的な言葉を受け続けた子は、自己肯定感が下がり、親子関係の悪化にもつながりかねません。

 片付けに限らず、「こういう子にしたい」「絶対にこれができるようにさせたい」という親の強い思いは、子どもから見たら親の勝手な「欲」ですから、「叱ることにかける労力を、子どもと一緒に楽しむこと」に向けたほうが建設的です。(次回に続く)

※本原稿は、親野智可等著の書籍『子育て365日』の発売を記念した書き下ろしです。ぜひ書籍『子育て365日』のほうもチェックしてみてください。