24年卒で2社以上内定をもらった学生は約65%
追い風が吹く状況だからこそ選社軸を定めよう

 企業の堅調な採用意欲を追い風に、学生の活動状況はどう推移しているのでしょうか。前述の調査結果より、25年卒学生の3月1日時点で、内定取得者のうち、2社以上内定を取得している割合は半数に迫ることがわかりました。では、就職活動を終えた24年卒学生はどうだったのでしょう。

『就職白書2024』の24年卒の振り返り調査で学生に内定取得社数を聞いたところ、「2社以上・計」は64.7%でした。複数内定取得者のうち、内定を複数保有した時期が「あった」と答えたのは89.4%。約9割の学生が複数内定を保有して過ごす時期があったと回答しています。

 内定取得後も就職活動を継続した割合は68.7%と、約7割の学生が内定を保有しながら選考を受けている状況が読み取れます。活動を継続した理由としてトップは「より志望度の高い企業の選考を受けるため」が76.1% でした。次いで「内定取得先の企業でいいのか不安に感じたため」が27.0%、「より多くの企業を知るなど、社会勉強のため」が14.8%と続きます。内定辞退理由としては「他の企業の選考に通過したから」が28.9%で最も高くなりました。

 一方で、「就活を早く終えたい」「内定をもらったから(就活を)終了しよう」という学生も一定数いるのが現状です。選考が早期化している今、内定が出る時期は早まっています。内定をゴールに捉えてしまうと、自分なりの選社軸・選択基準が定まらないうちに意思決定をすることで、のちに「この会社/職種でよかったのだろうか」と迷いにつながることもあるでしょう。

 学生有利となっている今だからこそ、焦らずに、自分はどんな働き方がしたいのか、どんな人生を送り、その中で仕事をどう位置付けていくのか、時間をかけて考えていくことが大切です。他社との比較検討を経て納得感のある選択をすることが、入社後の活躍や、満足度にも大きく影響してくるからです。

 就職活動の期間を見ると、24年卒は平均7.87カ月となり、23年の8.36カ月から半月程度短くなっています。就活スケジュールは、2017年卒以降「3月1日採用広報活動開始、6月1日採用選考活動開始」という一定のルールが定められ、政府主導で経済団体などへ要請されている現状があります。

 ただ、外資系やIT企業などでは以前から独自のスケジュールで採用活動を進めており、昨今では、業界や業種、従業員の規模を問わず、早期の内定出しが広がっています。学生の就職活動期間が短くなっている背景には、そのような企業側の動きもあると思われます。