「投資家にとっては心臓に良くない」という証券マンもいる。コニカミノルタの動向である。同社は7年前に買収した米「Invicro」(インヴィクロ)を譲渡すると発表したからだ。
インヴィクロは画像解析や医療画像データ分析サービスを提供するCRO(医薬品開発業務受託機関)で、その直前にコニカミノルタが産業革新機構と共同で買収した遺伝子解析を手掛けるアンブリー・ジェネティクスと合わせた親会社「REALM IDx」(レルムIDx)を設立し、プレシジョンメディシン(精密医療)を進めていた有望会社。それもコニカミノルタは両社を中心にしたヘルスケア事業を主力事業に位置付けていたほどだ。しかも、7年前のインヴィクロの買収価格はざっと320億円だったが、今回の譲渡価格はその半分の173億円。投資家ならずともガックリする内容なのである。
同時にコニカミノルタは同社の譲渡で、米国で株式上場を計画していたレルムIDx社の上場準備を取りやめることも発表した。
そのうえ、コニカミノルタでプレシジョンメディシン事業をけん引してきた藤井清孝専務執行役も3月末に執行役を退任するという。2社を1000億円もはたいて買収後、「売上高1000億円の事業になる」と語っていた計画は夢で終わりそう。いったい、どういうことになっていたのか。