<正解>
 計量器は1回使えばいい

 ここで問われているのは計量器を使う「最低回数」です。
 これが、なかなかやっかいです。
 たとえば「5回」で特定する方法が見つかったとしても、「それ以下の回数では特定できない」とは言い切れないかもしれません。
 こんな問題、明確な答えは出るのでしょうか。
 頭を抱えそうになりますが、「この他にない明確な答え」が出る、とてもスッキリする問題です。

ふつうに考えると、どうなるか

 コイン10枚でつくられた山が、全部で10個。
 つまりこの場に存在するコインは、10×10=100枚。

 偽造コインは本物より1グラム重いため、それを見抜くには、1つ目の山を量って、次に2つ目の山を量って……。
 そうやって、9つ目の山まで量っていく。
 つまり最低9回は体重計を使う必要がある。

 そんなふうに考えてしまいがちですが、間違いです。
 もっと少ない回数でいけます。

抜き出したコインの出所を特定するには

 ポイントになるのが、山の構成です。
 偽造コインの山は、その10枚すべてが偽造コインです。
 ということは、10の山それぞれから1枚ずつコインを抜き出せば、その中にはかならず偽造コインがあります。
 つまり、抜き出した10枚のなかで、重さが違う1枚がもともとあった山が、偽造コインの山です。

 ですが問題は、抜き出すコインが1枚ずつだと、結局、何回も体重計を使う必要があるということです。
 そこで、

 山によって抜き出すコインの枚数を変えます。

 1つ目の山から1枚、2つ目の山から2枚、3つ目の山から3枚……10個目の山から10枚と、それぞれコインを抜き出します。
 すると抜き出したコインは「1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=合計55枚」になります。
 これをまとめて計量器に載せれば終わりです。

これ以外にない明確な答え

 55枚のコインは、すべてが本物であれば、重さは55グラムになるはずです。
 ですが、少なくとも1枚以上は偽造コインが交ざっているため、実際は何グラムか重い数値になります。

 55枚のコインが「本物のコイン55枚分」より何グラム重いのか。

 これを見ることで、どれが偽造コインの山かがわかります。

 たとえば抜き出した55枚のコインが、本来の重さより1グラムだけ重かった場合。
 1枚の偽造コインが交じっているということです。
 つまり、「1枚だけコインを抜き出した山」が、偽造コインの山だと判明します。

 この方法なら計量器を1回使うだけで、偽造コインの山を見抜けます。
 これ以下の回数はないため、明確に「これが正解」だと言えます。

「思考」のまとめ

 それぞれの山から抜き出すコインの数を変えることで、結果の数値と、原因となった山を紐づけることができました。

 ひらめきの要素も多い問題でしたが、ポイントがあるとしたら、はじめから「1回で解決できる方法を探そう」と考えることでしょうか。
 ふつうに考えると何回も計量器を使う必要がありそうですが、そこから少しずつ効率化していったところで、1回という答えに辿り着くのは難しいかもしれません。
「1回でやる」と決めるからこそ、改善ではなく、改革的な発想が生まれます。

 いっけん無謀に思える目標を設定することで、小さな改良や改善ではなく、抜本的な新しい方法を模索することになり、水平思考が働くのです。

 ・ふつうの方法では実現できない「無謀な目標」を設定して考えてみると、おのずと突飛な発想をせざるを得なくなる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター
論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。