加えて、友人や家族は親身にはなってくれますが、専門知識がありませんから、直感的で不正確なアドバイスをする可能性が高いです。専門家は過去の事例などを把握して、客観的かつ正確な知識に基づいて対応してくれます。頼るべきは後者でしょう。

 大谷選手について言えば、財産の管理を水原氏に認めた、あるいは認める状況を作ってしまったことが根本的な問題です。身内で周りを固めるのではなく、資産管理会社を設立するなどしてお金の専門家に委託すべきでした。

 信頼する人から裏切られないための方法は、突き詰めると1つしかありません。それは「権限を与えないこと」です。なんと水原氏は、大谷選手の銀行口座の暗証番号を変更するために用いる「秘密の質問」まで把握していたそうです(4月13日NHK)。これは大谷選手の緩さであって、脇が甘すぎると言わざるを得ません。

 騙されないために重要なのは、「人間は常に変化する」という認識を持つことです。例えば、採用したときは真面目だった人も、ギャンブル好きの先輩と付き合えばギャンブル好きになりますし、不真面目な同僚と付き合えば不真面目にもなります。つまり、現時点で信頼できるからといって、これから先も信頼し続けていいとは限らないのです。

 文字にすると当たり前のことに感じられますが、大谷選手をはじめ多くの人が、信頼しているという理由で、仕事や財産に関する権限を安易に他人に渡しています。

 特に、財産の権限を与えてしまうと、そのことがきっかけとなって、人が変わってしまうこともありえます。就職活動がうまくいって有名大企業に勤め始めたことを契機に、人格が変わってしまった人は皆さんの周りにいませんか?お金と派手な人脈を手にしたことでまるで違う人になってしまう人間は少なくありません。