長期金利の上昇局面を迎え、生命保険各社の商品戦略が転換点を迎えている。保険料の計算の元となる予定利率の引き上げや、新商品を投入する動きが激しくなっている。特集『総予測2024』の本稿では、予定利率をめぐる攻防が2024年以降にさらに加速するさまを解説する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
新型コロナ関連の支払いが大幅減少
対面販売が復活もV字回復には遠い
死亡保険金と入院給付金の合計で、約1.3兆円もの巨額な支払いとなった新型コロナウイルス感染症。生命保険業界にとって多くの顧客の役に立った一方で、国の要請による、実際に入院せずとも入院したと見なす「みなし入院」には、多くの生保が翻弄された。
そのコロナ関連の支払いが大きく減った2023年度上期決算は、本業の利益を示す基礎利益が多くの生保で軒並み増加。強みとする対面販売も復活し、24年度に向けて意気軒昂かといえば、必ずしもそうではない。
理由は、営業職員チャネルでの訪問販売活動が、コロナ前の水準に戻り切っていないことだ。そもそも職場への訪問活動が年々難しくなっていたのに加え、リモートワークの定着などで顧客に会える機会が減っているためだ。
実際、下図の通り、大手生保4社の新契約年換算保険料の四半期推移を見ると、確かに新規の保険販売がV字回復しているとは言い難い。中でも、厳しいのが第一生命保険だ。
大手生保4社の中で、第一生命がとりわけ厳しいのはなぜか。また、金利上昇局面において、保険料計算の基となる予定利率をめぐる生保各社の攻防が激しくなっている。次ページでは、そのさまを解説していく。