何が“鉄鋼不況”を
もたらしたのか?

円安・ドル高の修正により、急速に円高が進行し、為替相場は1年で1ドル240円から160円へと急上昇。鉄鋼メーカーは安価で原材料を輸入できますから、円高が悪いとはいえません

しかし、鉄鋼をもとに製品を加工・輸出する自動車・造船・電機メーカーへのダメージは、かなり大きなものでした。

結果として、鉄鋼も減産や取引先からの値下げ要求を受けることになり、“鉄鋼不況”に陥ったのです。

鉄鋼株への“投資の思惑”

こうした経緯があって、鉄鋼業の各銘柄は、資金力のない私でも1000株単位で買えるほど低水準の株価になっていたのです。

いくら株価が低迷しているとはいえ、「鉄は国家なり」と言われて国策と結びついた鉄鋼産業は、そう簡単に潰れるとは思えない。

なおかつ親父の教えに沿えば、景気が悪いときに買った株は必ず上がるはず。そのような思いから、新日本製鐵(現・日本製鉄)、住友金属(現・日本製鉄)、川崎製鉄(現・JFEホールディングス)の株を約30万円分ずつ買いました。

倍々ゲームの
“バブル到来”

買ってから1年くらいは、とくに大きな値動きはありませんでしたが、ほどなくバブル景気が到来したのです(バブル景気は1986年12月に到来し、1991年2月までの51か月間続いたとされています)。

バブル景気が訪れ、1株100円ほどで買った保有株が300円になり、500円になり、1000円にまで値上がりしました。

私は500円を超えたところでソワソワしてしまい、700円になる前にすべて売ってしまいましたが、それでも元手の6~7倍くらいになったわけですから、だいぶ儲かりました。

父の教えに
背いたために……

とはいえ、元手自体がそれほど多くなかったので、小金を稼いだに過ぎません。

親父からは「これは単なるビギナーズラックだ。次に買ったら確実に損をするから、2~3年は株を買わずに待っておいたほうがいい」と諭されましたが、調子に乗って待てずに買ってみた結果、やはり失敗しました……

※本稿は、『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。