「昨年のような異常気象のときに、どういう生産者がきちんと出荷していたか。我々のように数字を使ってきっちり管理している生産者が多かった」

 同社のハウスは、内部がつながっている連棟ハウスだ。環境制御や自動潅水(かんすい)の装置を導入し、ハウスの環境を「見える化」、自動化して一括で管理する。

大規模経営が進んでも
価格は下がらない

 稲作ではすでに、大規模な生産者に農地が集約される流れが確立している。米どころでは100ヘクタールを超えるような大規模経営が増えてきた。

環境制御や自動潅水の装置を導入する「みらいの畑から」のハウス環境制御や自動潅水の装置を導入する「みらいの畑から」のハウス 提供:同社

 集約と大規模化は今後、野菜業界でも加速すると予想される。大和証券グループがトマトの生産を始めたのは、まさにこうした大規模経営が勝ち残る未来を見越してのことだ。

「大規模になると、一定の契約に基づいて栽培するようになるので、キロ単価が設定されている分、きちんと量をとれば黒字を実現できます。経営ノウハウを持った大規模な施設園芸の生産者が増えれば、リスクマネー(リスク性の高い投資資金)を提供して農業の大規模産業化を進めるという我々の出番がもっと生まれてくると考えています」

 零細な生産者が淘汰される過程で、生産量は減少するのでトマトはほぼ確実に値上がりする。人件費やエアコンのための重油代、肥料代に種代など、あらゆるものが上昇しているなか、これまでが安過ぎたといえる。

 トマトは今のところ、流通の川上、つまり生産側の立場が弱く、川下の小売りといった消費側に買い叩かれている。そんな状況が過去のものとなる日は近い。