日本紙幣と住宅模型写真はイメージです Photo:PIXTA

見えにくいマンションの資産性
マンション価格とイコールではない

 自身の所有するマンションにどのくらいの価値があり、市場で取引される価格はどのくらいなのか。マンション価格が高騰を続ける昨今、自身のマンションの「現在価値」を知りたいと思うのは当然のことだ。AI査定やポータルサイトの一括査定などを利用し、具体的な金額・相場を定点観測している人も少なくない。一定条件を入力すればすぐに価格が表示されるAI査定・一括査定は便利なシステムであり、おおよその相場を知るのにも役立つだろう。

 しかしながら、これらのシステムには、少なからず営業戦略、マーケティングの要素が含まれている。売り主・買い主が真に知りたいポイント…例えば、室内の状態や管理組合の運営などが必ずしも反映されているわけではない。サービス提供側の思惑があってこそ、無料で利用できるシステムだということを心に留めておきたい。

 また、私たちが目にする「マンションの価格」を決める手法として、よく知られる手法に取引事例比較法(とりひきじれいひかくほう)がある。複数の取引事例を収集し、対象となる不動産と類似している事例から時点修正などを行って価格を決めていくやり方である。資産性を表す一つの軸ではあるものの、AI査定・一括査定と同様、これ一つだけで「資産性」が判断できるというわけではない。

 そもそも「資産性」という言葉を明確な形で定義することは難しい。利するのが誰なのか、また何に価値をおくかで「資産」に大きな差が生じてしまうとも言えるからだ。では、どのような形でマンションの「資産性」を見極めればいいのだろうか。