JR東日本グループは、4月26日に発表した方針の中でこう述べた。

「カスタマーハラスメントに該当する行為に対しては、毅然とした対応を行い、グループで働く社員一人ひとりを守ることも、継続的に安全で質の高いサービスを提供していくためには不可欠と考えた」

 悪質な客には、毅然と対応する――。これは、身内に甘いとか、客を客と思っていないという話ではない。むしろ、顧客に質の高いサービスを提供し続けるためにこそ、従業員を守る必要がある、という意味だ。

 永続的に質の高いサービスを提供するためには、まず内部の人を大切にすべきだ。

経営者は3つのことに責任を持つ

 その理論の原点は、経営学の父、ピーター・ドラッカーによる「経営者の仕事」(『マネジメント[エッセンシャル版]』ダイヤモンド社に収録)にまで遡ることができる。

 経営者の仕事は、「売り上げや利益などの成果(アウトプット)に責任を持つもの」と、しばしば規定される。

 だが、ドラッカーはこれを否定する。