腸活のカギを握るのは
多様な食材と生活リズム
そして、腸を健康に保つために“多様性”を重視した食事を心がけてほしい、と内藤氏。
「我々が行った調査によると、京丹後市に住む高齢者は、カブや大根など、色のついていない『その他野菜』をよく食べていることが判明しました。今後は、その他野菜に含まれる栄養素と、腸内細菌の関係をさらに追求していく予定です。自然豊かな京丹後市に住む人々は、魚や山で採れた果物など多様な食材を食べており、バランスの取れた食事をとっています。多様な食材を過不足なく食べる生活が、腸内環境に好影響を与える可能性は高いでしょう」
日本食をベースにした食生活が、腸内環境の改善につながる可能性が高いという。ただし「 “食”のみで腸内環境が改善されるわけではない」と、内藤氏は話す。
「腸内環境は、日頃の運動量や睡眠時間によっても左右されます。生活リズムが乱れれば、腸内環境も乱れてしまうのです。毎朝同じ時間に起きて朝食を食べ、体を動かし、夜ふかしせずに睡眠時間をしっかりとる。規則正しい生活を送るのが、本当の“腸活”なのです」
言うは易く、行うは難し。まずは多様な食材を食べることからはじめてみよう。
内藤裕二
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学 教授
1983年京都府立医科大学卒業。2001年に渡米し、ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授を務める。帰国後、科学技術振興機構科学技術振興調整費研究領域主幹、2008年京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学准教授、2015年に同学附属病院内視鏡・超音波診療部部長を務め、2021年から現職。『消化管(おなか)は泣いてます』(ダイヤモンド社)、『すごい腸とざんねんな脳』(統合法令出版)、『100年腸~最強食物繊維があらゆる不調を改善!』(内外出版社)など著書多数。