身の回りのことは全部親が…
深刻な8060問題の最期
昔の人は、結婚、出産が早く、20歳そこそこで、子どもを産んでいる方も多かったものです。専業主婦の時代で、家事は全部、主婦がしていたご家庭が、ほとんどかもしれません。
何歳になっても、夫や子どもの食事など、全部1人でやってきた、という方も、珍しくありません。
80代の親が、60代(50代)の子どもの生活を支える、というのが「8060(8050)問題」です。
妻(主婦)が先に亡くなってしまうと、残された夫は、食事や洗濯など、身の回りのことがまったくできない、という状況も見られます。
息子さんの場合にも、同じように、身の回りのことは全部親がやっていて、自分では何一つできない人もいます。
親が何でも全部やってあげる、というのは、考えものかもしれません。
自分のことは、自分でできるようにさせなくては。
Oさんは、それに気がついて、間に合って、よかったですね。
夫や息子に、身の回りのことができるように教え込む、というのも、立派な「終活」の1つです。
標準治療より
免疫療法を選んだ男性
代替療法で財産をすべて失ったNさん(胆管がん)
Nさんは54歳。
医療関係でばりばり働いていた男性です。
ある年の定期健康診断で、肝機能の数値がひっかかりました。
何も自覚症状はないので、しばらく放置して、数カ月後に再検査しても、やっぱり異常値です。
そこで精密検査を受けたところ、胆管がんということがわかりました。
黄疸も出てきて、緊急入院です。
肝臓転移・肺転移もあり、手術できる段階ではありませんでした。
とりあえず黄疸を解消するため、胆管ステントを実施(詰まっている胆汁の流れ道を広げ、流れを確保するために、チューブなどを埋め込みます。それを胆管ステントと呼びます)。
その次には、抗がん剤治療を勧められたのですが、Nさんは拒否して、無理やり退院してしまいました。
仕事も辞め、その後は……。
免疫療法など、効果が確立されておらず、保険がきかず、費用も非常に高額な治療を選択されたのでした。
広島以外の遠方で、あちこち病院・治療法を変えながら、続けてこられました。
しかし、どの治療法にも効果はありませんでした。
肝臓転移が大きくなり、腹水も溜まる状態になってきたのですが、もうNさんには治療を続けるお金が残っていません。
治療を断念して、広島に帰ることになりましたが、もう家も貯金も、何も残っておらず、妹さんのアパートに転がり込むしかありませんでした。