がんの標準治療よりも
高価な薬や治療の方が効くと考える人

 がんの治療では、「標準治療」と呼ばれるものがあります。

 信用できるがん治療の調査データを比較し、「現在、世界的にもっとも優れている」と判断された治療法です。

 もちろん、新しい臨床試験データが出てきたり、新しい治療薬が登場したりすれば、標準治療というのは、書き換えられていくことになります。

 現在、どこのがん治療病院でも、あるいは世界でも、「もっとも優れている」と判断され、日本中・世界中で実施されている治療法が「標準治療」なのです。

 ところが、「標準」と聞くと、「もっとよい治療法があるのではないか?」と考える人がいるようです。

 高齢者では、昔、結核で多くの人が亡くなった時代に、「高価な結核治療薬」を使うことができた人だけが助かった、ということを見聞きしている経験があるのだろうと思います。

 高価な薬、高価な治療なら、もっと効き、治るのではないか、と。

 もう少し若い方では、たとえば、レストランの食事で、「スペシャルコース」といえば、高額になるでしょうが、それに見合ったおいしい料理が食べられます。

 医療の世界でも、自分は「標準」ではなく「スペシャル」な治療を受けたいと、そう考えられるのかもしれませんね。

「標準治療」という名称が悪いのではないか、と思います。

「世界最先端のもっとも信頼できる治療法」という名称なら、実態を表しており、標準治療ではない治療法を求める人は減るのではないか、と。

 でも、この名称は長いですね、ネーミングのセンスがありません。

 コピーライターの方の出番ですね。