自分の違和感に気付くのが早かった人は、早々に転職するなど、自分の感性を守る選択をしています。一方で、気付くことができなかったり、気付いてはいるものの言いだせなかったりと、体調を崩すまで頑張ってしまう人もいます。

月曜日が来るのが嫌で泣き続け
心身の不調の末に休職を選択

 まほさんも、新卒で入社した会社の働き方に違和感を持ちながらも、なかなか辞める決断をできなかった方です。まほさんは、誰もが羨むような大手商社に、新卒で営業として入社し上京しました。深夜の残業も飲み会も国内外の出張も、どんなにキツくても若さで乗り切ってきたそうです。それが年々冷静になり、「私がしたい仕事って何だっけ」と違和感を覚え自問自答するように。日々精神を削られても給料は安定しているし、転職は不安だし、仕事ってこんなもんでしょと自分に言い聞かせてやり過ごしていました。

 しかし、そのうちに違和感はどんどん大きくなり、やがて心身に不調が現れるようになりました。胃痛で食欲がなかったり、月曜日が来るのが嫌で泣き続けたこともあったそうです。「心身は限界でも休む勇気がなく、休める理由を必死に探していたように思う」と、当時を振り返ってまほさんは言います。

 結局休職を決めるまでに何度かカウンセリングに通い、客観的にアドバイスを受けました。適応障害の診断をもらったときは「これでやっと休める」と心から安堵したそうです。そのときから1年以上経ってあの頃を思い出すとき、もう少し無理してもっと深刻に心身を病んでいたら、まだ今のように回復できていなかったかもしれないとまほさんは言います。当時の自分に、「勇気を出して休んで偉かったね」と言ってあげたいそうです。

 まほさんのように、心身の不調が出るまで働いてしまう人は意外と多いのかもしれませんが、そのような人は間違いなく休んだ方が良いはずです。ただ、そこまでいかなくても、会社の常識に違和感がある、この環境に居続けると自分のことが嫌いになりそう、なんだか私じゃないみたい、自分の感性が死んでしまうように感じる、などと違和感を持つ人もいると思います。そんな違和感が起点になって、キャリアブレイクという選択肢を検討する人が多いように感じます。