日本の「落ちこぼれ」を作る教育スタイル

坪田:とはいえ、学校教育においても同じことが起きていて、多くの人たちが「落ちこぼれ」のようなかたちになっています。昔は、一部の人だけがうまくいくのでよかったと思うんですよ。でも今は少子高齢化で、落ちこぼれさせてしまうと人が残らないのが現状だと思います。

 だから、すべての人たちをちゃんと育成していく。学習をサポートするスタイルを先生や上司が取らない限りは、採用コストがどんどんかかってしまいます。

尾原:確かに。ついていけない人は落ちこぼれて、「あいつはついていけなかったね」と言って、終わっちゃう。

 上司が壁だと思ったところが、その人にとっても壁だったらついていけるけど、壁の場所が違ったら、「 なんでそんなこともできないの?」って、なっちゃいますものね。

坪田:まさしく、おっしゃるとおりです。例えば、100人採用して1人がめちゃくちゃ優秀になったとするじゃないですか。でも、99人に対する教育コストは全部無駄だったわけですよね。

 その人はたまたま性格的に合わなかっただけで、他の会社に行ったらうまくいくかもしれない。だけど、一度「落ちこぼれた」かたちになると、自信を失くしてしまいます。

 また、本来はのびのびできるはずなのに、前の会社で散々怒られているから、それができない状態で次の会社に行きます。しかも、条件がよくないところに行ってしまって、「落ちこぼれ」のようになっている人がいます。

 それは、いわゆる就職氷河期や超就職氷河期の人たちです。僕はまさに「ロスジェネ世代」なんですけど、そんな人たちがめちゃくちゃ多いと思うんですよね。

尾原:めっちゃわかりますね。