イオンが肝煎りで開発し、昨年10月にオープンした国内最大のショッピングセンター「越谷レイクタウン」。オープンから1年足らずにして、早くも空きテナントが出ている。

 6月5日の時点で空きが見られたのは10区画。イオンによると6月15日の時点で、駅から遠いmori棟で6区画、駅に隣接するkaze棟で2区画の計8区画が空いている。

 背景には「テナントがつぶれてしまうので仕方ない」(岡田元也・イオン社長)というとおり、不況により企業規模の小さいテナント企業の破綻が相次いでいることが1つ。ただ、それだけでなく、採算が合わないからと出て行くところもある。

 越谷レイクタウンは2棟合わせて売り場面積は約22万平方メートル、端から端まで歩くのに15分を要するという広さ。大きいがゆえにショッピングセンター内での競合や、お客の少ない“死に場所”が出ている。新ブランドのテストストアなどに、採算割れが出ているという。「売り上げが計画の5分の1しか届かず、違約金を払ってでも早めに撤退したほうがいい」と判断したところもある。

 空き区画のみならず、半年前の1月時点と比べると、17区画で撤退や入れ替わりがあったようだ。イオンによると、「30の専門店が出店待ちで、空いている8区画も後継テナントが決まっている。全部で565の専門店があり、空きは全体の1.4%にすぎない」という。さらに、オープンから8ヵ月で3000万人が来店しており、ショッピングセンター全体としては好調だと強調している。

 ただ、越谷レイクタウンは850億円で不動産証券化し、イオンにはそれに見合うぶんの家賃負担がある。ショッピングセンターの運営は「テナントの業績が厳しく、家賃や最低保証条件を一時的に緩和せざるをえない」(あるショッピングセンターを運営する会社の幹部)という環境にある。それだけに越谷レイクタウンは規模が日本最大級なぶん、それに伴う問題も、また、大きいようだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)