「誰かを助けたいという思い」は、
伝播しやすい

松澤萬紀(まつざわまき)  幼少期よりCA(客室乗務員)に憧れ、8回目の試験で念願のCAに合格。ANA(全日空)のCAとして12年間勤務する。トータルフライトタイムは8585.8時間(地球370周分)。ANA退社後は、マナー講師、CS(顧客満足度)向上コンサルタントとして活動。年間登壇回数は200回以上。 総受講者数は、2万人以上。リピート率は97%に達している。また、読売テレビ「ミヤネ屋」への出演、毎日新聞にも掲載されるなど、メディアでも活躍中。
【オフィシャルHP】
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 すると、嬉しいことに、ほとんどのお客様が手を挙げてくださったのです。
目的地に着くころには、たくさんの人の思いが込められた「千羽鶴」ができ上がったそうです。

 同期のCAは「知らない人同士でも、気持ちがひとつになれば、これほど大きなことができるんだ」と、この奇跡的な出来事に「胸がいっぱいになった」と話してくれました。

 私は、彼女からこのエピソードを聞いたとき、あたたかな気持ちに包まれながら、

「『だれかを助けたい』という思いは、伝播しやすい」
「『人のために、なにかをしてあげたい』という気持ちは、共感を得やすい」

ことを学びました。共感は、「利己的な行動(自分のことだけを考える行動)」からではなく「利他的な行動(相手のことを気づかう行動)」から呼び起こされるのです。

 乗客のみなさんが鶴を折ってくださったのは、「クラスメイトの快復を祈る高校生の思い」に、心を動かされたからではないでしょうか。
そしてなにより印象的だったのが、「手伝ってくれたみなさま」も、とても幸せそうな笑顔になったそうです。

「ボランティアをしている人は、うつ状態になりにくい」という話を聞いたことがありますが、「人のためになる行動」は、回り回って、結果的に「自分のためになる」ようになっているのですね。