スマホを持つ女性写真はイメージです Photo:PIXTA

芸能人のスキャンダルや、知人の失敗や失恋などの不幸話を聞いて、誰もが大なり小なり「蜜の味」を経験しているはず。しかし、エスカレートすると他人に不信感を抱かせたり、心を傷付けたりすることもあるので要注意。そうならないための解決策を、チャンネル登録者数66万人超の人気“YouTuber和尚”が教えてくれる。※本稿は、大愚元勝『これでは、不幸まっしぐら 今すぐ変えたい30の思考・行動』(株式会社佼成出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

他人の不幸を消費することで
自分の劣等感をごまかしている

 週刊誌の「文春」が芸能人のスキャンダルを報道し、それが「文春砲」として注目されてからというもの、芸能人のスキャンダルに対して世間の目が向く機会が増えたように感じます。いままでは、中吊り広告の見出しを見て、雑誌を手に取った人だけが読んでいた情報が、ネット上で非常に強い拡散力をもつようになったからでしょうか。

 こうしたスキャンダルに関心を寄せる人は、昔も一定数はいたのでしょうが、現代ほど、それが露骨にあらわれている時代はなかったように感じています。また最近では、謝罪会見だけでは済まず、芸能界引退に追い込まれるなど、世論の影響力ははかりしれなくなりました。

 もちろん、スキャンダルとして取り上げられるようなことをした本人に非があることは間違いありません。しかし、冷静に考えてみれば、会ったこともない芸能人の不祥事など、多くの人の人生にはなんの関係もないことです。

 そうであるにもかかわらず、なぜ関心が寄せられるのかといえば、「他人の不幸は蜜の味」だからです。失敗した人、不幸のどん底にいる人を見て、「自分はあの人に比べたらまだ幸せなほうだ」と、相対的な見方で安心感を得たい――そんな感情が背景にはあります。

 このことは脳科学の分野でも証明されています。たとえば、家族や親しい友人に不幸があったとき、多くの人は「なんとか支えになれないか」と心を配るのですが、相手に対して日頃から劣等感があったり、自分よりも優れているものをもっていて、妬たましく思っていたりする相手だと、その人の不幸が蜜の味になると言われています。

 芸能人の不祥事に関心が寄せられるのは、芸能人がテレビやドラマの第一線で活躍するなど、多くの人が憧れる人生を生きているからかもしれません。

 他人とはいえ、充実している人を見て「うらやましい」という気持ちが無意識に生じているため、不祥事でその地位が失われる姿を見て、「この人にも不幸はあるんだな」と安心感を得ている。別の言い方をすると、自分の劣等感を、他人の不幸を見ることでごまかしているのです。