<正解>

 2試合目で負けたのはA

 それぞれの合計試合数しかわからないのに、いきなり「第2試合」の結果を聞かれて驚いたかと思います。
 難易度は「ふつう」ですが、ちょっと難しいかもしれません。
 最初の着眼点さえ見つかれば、あとは流れるように解けていきます。

おこなわれた試合の「合計数」がわかる

 順を追って考えていきましょう。
 唯一わかっている手がかりは、3人それぞれの合計試合数です。
 どうやらここから、別の情報を得る必要がありそうです。

 3人がおこなった試合数を、合計してみましょう。

 「10+15+17=42」

 つまり合計42試合がおこなわれた……ように思えますが、違います。

 シングル戦は1対1。
 2人でおこなわれるので、1試合につき2人の試合数が重複してカウントされます。
 そのため、「42÷2=21」が全体としておこなわれた試合数です。
 卓球の試合は計21回おこなわれたと判明しました。

実現可能な「最大」の試合数とは?

 ここまでに判明している事実は、全体の試合数が21回であることと、「3人の試合数に偏りがある」ことです。
 しかし、これだけでは答えは出ません。
 思考の糸口が見えないときは、

 まずは上限と下限の数値を求めてみると、手がかりが見えてくることがあります。

 参加者の1人が可能な「最大の試合数」を考えてみましょう。
 これは簡単ですね。1試合目から参加して、全勝することです。
 つまり、

 21試合が「理論上可能な最大試合数」

 だとわかります。

では、実現可能な「最小」の試合数とは?

 では反対に、「理論上可能な最小試合数」は?
 これを実現する方法は、「毎回かならず敗北する」ことです。
 毎回負けて、次の試合には出ないことで、なるべく少ない試合数で21試合を乗り切れます。

「毎回かならず敗北する」ということは、たとえば1試合目は出て、2試合目は休んで、3試合目は出て……といった具合になるので、

 ・1試合目から参加してすべて敗れたときの出場試合
  1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21(計11試合)
 ・2試合目から参加してすべて敗れたときの出場試合
  2、4、6、8、10、12、14、16、18、20(計10試合)

 という出場履歴になります。
 つまり理論上可能な試合の最小回数は「10試合」です。
 毎回かならず敗北することでのみ、この結果が得られます。

10試合しか出場しなかったAの存在

 理論上可能な試合の最小回数と、その場合の戦績がわかりました。

 お気づきでしょうか。
 10試合しかしていない人が、3人のなかにいましたね。
 すなわち、試合数が10だったAは、この戦績だったとわかります。
 毎回かならず敗北していたわけです。

 そして問題文で聞かれているのは「2試合目で負けたのは誰か」です。
 Aの試合数が10試合になるのは、2試合目から出場し、すべての試合で敗北した場合だけ。
 つまり、2試合目で負けたのはAです。

「思考」のまとめ

「試しに最大値と最小値を求めてみる」というのは、よくある解決手段です。
 私も仕事において、あらゆる可能性が考えられるようなときは、まずは「考えるべき範囲を絞る」ことを習慣にしています(実際にできているかと聞かれると自信はありませんが……)。
「もっと難しくても大丈夫」という方は、そのうち紹介する上級問題「隠された運動会」にも挑戦してみてください。
 きっと、楽しめると思います。

 ・思考のとっかかりがつかめないときは、まずは「最大」「最小」といった極端な場合から考えてみる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。