圧倒的な信頼の理由とは?
お客様は、こう言いました。
「だってこの人、ここで扱ってる車を自分で買って乗ってるんだよ。だから説得力が他の人とは全然違うんだ」
横を見ると、その販売員は恥ずかしそうに会釈し、こう言いました。
「もちろん型落ちですけどね。僕はこの車が大好きなんです。それに、実際に乗らないと本当の良さを伝えられないと思って」
後から知りましたが、外車販売ディーラーといえども、高級外車をポンと買える給与ではないそうです。
それでも、お客様に自分の言葉で伝えたいと思い、ローンを組んで買ったのだとか。
その説得力と熱意に心を打たれ、彼のファンになる人は少なくないようです。
「自分の言葉」で伝えよう
当事者の言動にこそ、もっとも説得力が宿ります。
人から信頼を得られるのは、自分と同じ立場で考え、発言してくれる人です。
先ほどの販売員が信頼されるのも、「当事者」だからです。
強制されているわけではないのに身銭を切って商品やサービスを使っているからこそ、「これは本当に良いものなんです」という言葉に説得力が出ます。
できるかぎり、お客様がしている体験を自分でもしてみましょう。
そして、「自分の言葉」でお伝えしましょう。
無理に良い点だけ伝える必要はなく、悪い点も正直に伝えてみましょう。
大切なのは言葉の内容ではなく、相手に「この人は自分と同じ視点で考えてくれている」と感じていただくことです。
信頼を得るために必要なのは、説得する言葉を磨くことではありません。
できるだけお客様と近い立場になる努力をすることなのです。
(本稿は、『記憶に残る人になるートップ営業がやっている本物の信頼を得る12のルール』から一部抜粋した内容です。)
「福島靖事務所」代表。経営・営業コンサルティング、事業開発、講演、セミナー等を請け負う。高校時代は友人が一人もおらず、「俳優になる」ことを口実に18歳で逃げ出すように上京。居酒屋店員やバーテンダーなどフリーター生活を経て、24歳でザ・リッツ・カールトン東京に入社。同社が大切にするホスピタリティを体現し、6年間で約6,000人のお客様に名前を尋ねられるほどの「記憶に残る接客術」を身につける。31歳でアメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドに入社し、法人営業を担当。当初は営業成績最下位だったが、リッツ・カールトン時代に大切にしていた「記憶に残る」という在り方を実践したことで、1年で紹介数、顧客満足度、ともに全国1位に。その後、全営業の上位5%にあたるシニア・セールス・プロフェッショナルになる。38歳で株式会社OpenSky(プライベート・ジェット機の販売・運航業)に入社。40歳で独立し、個人事務所を設立。本書が初の著書となる。