所得制限なしで高校無償化
子どもや家庭への補助も手厚い

 東京都は子育て世帯への支援にも抜かりない。東京都出産・子育て応援事業により、出産後には国の「子育て応援ギフト」5万円分に都が5万円を上乗せし、10万円分の商品やサービスを受けられる。金銭的給付としては「018(ゼロイチハチ)サポート」があり、都内在住の0~18歳の子どもたちに一人月額5000円を支給する。所得制限なし、年間最大6万円を3回に分けて受け取れる。

 24年度分の申請は6月11日に始まったばかりで、昨年申請済みの人は手続き不要だが、今年度から都内に転入した人や、新しく子どもが生まれた人は申請が必要だ。また、子どもの医療費助成についても、高校生まで対象に広げている。

 子どもを産みたい人への助成制度もある。不妊検査および一般不妊治療に要した費用について、5万円を上限に助成する。保険外となる特定不妊治療(先進医療)費用への助成もあり、かかった費用の10分の7を、15万円を上限に助成する。対象になる条件や回数制限などがあるので、希望する人は事前に確認を。

 もちろん教育費の支援もある。国の就学支援金と合わせて、都内私立高等学校の平均授業料である48万4000円まで東京都が助成する。いわゆる私立高校授業料の実質無償化だ。しかも、24年度から所得制限も撤廃になった。

 これらはあくまで一例であり、都が少子化対策や子育て支援に力を入れているのはよくわかる。しかし先日、都の合計特殊出生率(1人の女性が産むとされる子の数)が1.00を切り、0.99となったという衝撃のニュースが流れたばかり。こんなにお金を出してくれるのに、なかなか効果は出ていないようだ。

 現状はというと、異常ともいえる住宅物件価格高騰のあおりで子育て世帯が東京からどんどん周辺自治体へ転出している。都内では家も買えないし、物価も高い、暮らしは苦しくなるばかりというのが本音だろう。もしや、都内で家を持ち暮らせるだけの経済力がある世帯ばかりが恩恵を受ける構造にあるのでは――ちょっと意地が悪すぎる言い方だろうか。