組織の不祥事の裏に
“道化”の不在
日々、さまざまな組織で多くの不祥事が発生している。
誰かがトップを諫めて改心させればこんなことにはならなかったのに、周りはイエスマンばかりで箴言(しんげん)をする人などいないというのが常である。
今こそ、あえてトップに異論を投げかける役割を誰かに託すことが求められる。
シェイクスピアの『リア王』に登場する“道化”をご存じだろうか。私が小学生の頃は国語の教科書に載っていたが、なじみの薄い人もいるかもしれない。
道化は、時に王を痛烈に批判しながらも、一方では最も忠実な従者であり、王の影ともいえる存在である。
ユーモアや皮肉を交えて王に真実を伝える一方、娯楽を提供する役割を担う。奇抜な衣装を着て、独特の仕草や演技で注意を引きつけながら、政策や判断に潜むリスクや問題を理解するための重要なフィードバックを行う。