子ども「何かあったの?」→親「何でもない」と答えてはいけない!コミュ力を磨く親が言うべき一言とは写真はイメージです Photo:PIXTA

子どもをしつけをしているつもりが、怒りをぶつけてしまっていたり、心が乱れている時に子どもから励まされたり、子どもなのに図星のような言葉を発せられ、ドキッとするのはなぜでしょう?それは、大人のあなたの真意が、子どもに見抜かれているからでしょう。人は、常に言葉だけではなく非言語による表現も行ってしまっています。同じ言葉が発せられていても、表情やジェスチャー、声の抑揚などの非言語によって意味がガラリと変わってしまうのです。そこで、本当の意味を受け取り、伝えるために、非言語による表現を知っておきましょう。
※本稿は、小林音子著『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

親が子どもを観察するように、
親は子どもに観察されている

 子どもに、「学校どうだった?」と声をかけて返ってきた言葉が「楽しかった」だとしても、そのときに顔が引きつっていたり、暗い表情をしていたりすれば、あなたはどうしますか?多くの保護者は、元気ではないと感じ取れるので、「何かあったの?」と尋ねることになるでしょう。

 この例でもわかる通り、非言語は言語以上に表現力があるため、言葉とは真逆の情報を伝えている場合もあるのです。つまり、非言語のほうが情報量や情報の重みにおいて言語を上回ることがあるのです。

 言語で表現する際には、意識的にどのような言葉を使って表現するのかはマネジメントが容易です。

 ところが非言語の場合は無意識に出てしまったり、伝えたいこととは異なる情報が表に出てしまったりするのです。言葉はマネジメントできていても、無意識に非言語で元気ではないことを表現してしまっているのですね。

 つまり、非言語はマインドを勝手に表現してしまうことがあるのです。親が子どもの非言語表現から状態や様子をじっくり観察するように、子どもも親の非言語表現をじっくり観察していることを忘れてはいけません。

子どものコミュニケーション能力は
非言語表現が鍵

 相手の言語表現と非言語表現に矛盾があった場合、多くは非言語表現で伝わってきた情報のほうが、信頼度が高いと言えます。

 たとえば、「今日、一緒に遊びに行こう?」と誘ったときに、「うん」と答えたとしても、そのときに相手が困った表情なり暗めのトーンなり、あるいは忙しそうな視線の動きなど「あまり気が乗らないな」と非言語表現で伝えてきたときは、無理強いせずに、「あ、でもやっぱり今日はやめておきましょう」と引き下がったほうがいいときもあります。それほど非言語表現による情報は優位にあると考えていいでしょう。

 また、あなたが普通にしているつもりでも、誰かから「何かあったの?」と尋ねられたら、あなたは無意識で非言語表現により「悲しい」あるいは「苛立ち」などの感情を表していた可能性があります。このように、子どもが親の非言語表現を察知しているのに、親が「何でもない」と応えていると、親が子どもに「何かあったの?」と聞いた時に子どもも「何でもない」と答えるようになってしまいます。